100人に1人、1%の確率で発生する無精子症。
もし、自分が無精子症だったら―?
それでも、子供を授かることができるの?
無精子症って自分で判断することができるの?
ここでは無精子症について詳しくまとめました。
目次
無精子症には2種類ある
一言で無精子症と言っても大きく2種類があります。
非閉塞性無精子症
無精子症のおよそ8割がこの「非閉塞性無精子症」です。
非閉塞性無精子症とは、精子の通り道に閉塞が生じておらず、精子自体が作られないことで起こる無精子症。
閉塞性無精子症
無精子症の2割を占めます。
精子が作られていないわけではなく、射精までの通り道のいずれかに閉塞や狭窄があり、精子が射精液中に出てこれない状態のこと。
閉塞を開通させると、自然妊娠が可能になる場合もあるが、場所によっては再建術が困難であったり、長い間閉塞していたことで、精子の成熟停止を起こしてしまう場合もあります。
このような場合には精子自体が作られにくくなっているため、妊娠が難しいこともあります。
自分で無精子症かどうか判断できる?
閉塞性無精子症の場合、残念ながら自分自身で予測するのは難しいです。
詰まって痛いとか、腫れる等の症状は起こりません。
ですが、非閉塞性無精子症の場合には自分で気づける場合があります。
一般的に非閉塞性無精子症の方の睾丸は正常男性と比較すると「小さくて柔らかい」と言います。
専門機関でも最初に睾丸のサイズを測定します。
通常、第二次性徴を境に睾丸は大きさを増してきます。
しかし、その時期を過ぎても睾丸のサイズが小さいままの事が多いのです。
睾丸は精子を作る工場の役割を果たしています。
その部分が成長してこないというのは無精子症をはじめとした何らかの疾患が潜んでいる場合があります。
気になる方は一度専門機関を受診してみることをおすすめします。
無精子症になったら子供は授かれない?
無精子症と診断された場合でも、自分の子供を授かることができる場合があります。
そもそも閉塞性の無精子症の場合には、閉塞部分を開通させる「精管再建術」を受けることで自然妊娠が可能になることもあります。
また、精子が作られているのであれば、精子を採取し、顕微授精で受精させることも可能です。
閉塞性無精子症の場合は、妊娠の可能性が高いと言えます。
問題は非閉塞性無精子症の場合。
1つでも精子があれば妊娠の可能性はありますが、全くない場合には困難となります。
そんな中、注目を集めているのが精子になる前の「精子細胞」を使って受精を成立させる方法「円形精子細胞卵子内注入」=「ROSI」です。
国内では福岡県北九州市にあるセントマザー産婦人科医院で積極的に行われています。
この方法を用いて、上記医院では2013年までに80人の赤ちゃんが誕生しています。
現状では通常妊娠に比較し、流産率が高いなどの問題点もありますが、この方法が確立されていけば妊娠の可能性はより高まると期待されています。
なかなか授からないのであれば調べてほしい
晩婚化が進む中、悠長に赤ちゃんを待っていられないカップルも少なくありません。
女性側だけが受診を積極的に行い、男性側は蚊帳の外・・・というケースは決して少なくないといいます。
不妊の半数は男性不妊だと言われている昨今。
あなたが100人に1人の可能性で起こる「無精子症」ではないとは調べてみない限り言えません。
女性の年齢にもよりますが、1年待っても妊娠しないのを目処にぜひ男性も精液検査をしてみることをお勧めします。
授かれない時になってから後悔しても遅いのです。
人間の生殖可能期間は人生において決して長い時間ではありません。
おや?と思ったら受診してみることが大きな一歩になる場合もあるのです。