精子は90日かけて誕生する~感動!精原細胞から精子が生まれるまで

性的興奮の結果、男性は射精をします。

妊娠を計画していなければ、射精後の達成感を味わえば精子は用済み。
ティッシュに包んでポイ、ですね。

ですが、その精子には神秘的でとても尊い物語があります。

ここでは精子の元である精原細胞(精祖細胞とも)から精子が誕生するまでの物語をまとめたいと思います。

精子の元になる精原細胞は自己複製しつづける

そもそも、精子の元になる精原細胞ですが、これには二つの種類があります。

一つは精子(B型)になるもの。
そしてもう一つは自己複製して、精原細胞を生み出すもの(A型)。

精原細胞は精子も作りつつ、精子を作る元となる精原細胞の複製も行っています。
これを繰り返しているからこそ、精子は長期に渡って作られ続けるのです。
精母細胞
一般的には一日1億個の精子を50年間作り続けるといわれています。
世界の人口が72億ですから、人は一生のうちに世界の人口の約250倍の精子を作る計算になります。

精子になる精原細胞はやがて精母細胞になる

精原細胞は「セルトリ細胞」というお世話係の細胞から栄養をもらいつつ、23日かけて成熟していきます。
その後精原細胞は分裂し、2つの精母細胞へと変化します。

精母細胞
ここからさらに成熟していき、一つの精母細胞から2つの精娘細胞に分裂します。

精娘細胞になると精子の持つ性別が決まります

精母細胞では46本あった染色体ですが、精娘細胞に分裂(減数分裂)すると、それぞれ23本の染色体になります。
この時点で、X染色体を持ってる方が女の子、Y染色体を持っている方が男の子になる精子です。
減数分裂
卵子はX染色体しか持っていません。
たった一つの精子しか受け入れない(二卵性を除く)卵子は、卵子に到達した精子がXとYどちらの染色体を持っているかによって生まれてくる子供の性別が決まります。

Y染色体を持つ精子なら、XYとなり男の子。
X染色体を持つ精子なら、XXとなり女の子です。

精娘細胞となった時点で、性別を左右する権利ができたというわけです。

精娘細胞はさらに分裂して「精細胞」になる

性別を持った精娘細胞はさらに分裂します。
一つの精娘細胞から2つの精細胞へと変化します。
精娘細胞から精細胞へ
ここからは分裂ではなく、「変態」します。
変態を助けるのは、精原細胞をお世話してくれたセルトリ細胞。
このセルトリ細胞は、精細胞に尻尾を生えさせ、あの独特なおたまじゃくしの形になるまでサポートしてくれます。

セルトリ細胞に埋まるようにして、精子はあの形に変わります。

こうして、一つの精原細胞から精母細胞→精娘細胞→精細胞と経て、4つの精子が誕生するのです。

ここまでかかる日数は74日といわれています。

しかし、最近では精子になると決まったB型の精原細胞も、精原細胞を複製するA型に戻れる潜在能力があることが明らかになりました。
これはA型が不足気味~となると、B型がA型の精原細胞に戻って自己の複製にまわる流れがあるという意味。

そのため、74日で精子になるというのも、全ての精子においてそうだとは言い切れないことになります。
あくまでもスムーズに精子が作られた場合は74日ということですね。

精子誕生!だけどここからさらに熟成期間が必要

ある程度成熟した精子は、セルトリ細胞から頭が離れていきます。
そして、今まで育った精巣を離れ、その上に位置する「精巣上体」の頭部という場所まで流されるようにして運ばれます。
精母細胞
この時の精子にはまだ運動能力はありません。
射精するその瞬間まで、精子は他動的に移動しています。

こうして、精巣上体へ運ばれた精子はそこでさらに成熟し、射精の時を待ちます。

精巣上体はぐにゃぐにゃと折れ曲がった長い管で、それを引き伸ばすと5~6mにもなると言われています。
この管を14日間かけて移動し、やがて精巣上体の中の尾部と呼ばれる場所で射精の瞬間を待つと言われています。

この精巣上体という最後の待機場所には精子が約10億個、ひしめき合うようにしてその時を待っています。

射精されない・・・その時精子達は?

射精の瞬間を待つ精子達ですが、残念ながら射精が起こらずに長い時間が経ってしまうことがあります。

そんな時、精子は射精されることなくその命を終えます。
精巣上体では古くなった精子は分解され、吸収されてしまいます。

その働きがあるからこそ、精巣上体の精子量はほぼ一定で新鮮な精子で満たされているのです。

11日間射精されないと、精子を作るペースも減ります

一日に一億個作られると言われる精子。
しかし、射精の回数が減ってくると作る量を減らす傾向があるということが分かってきました。

特に著しいのは11日間射精しなかった場合。
11日間射精をしないと精子を作る量が著しく低下することが分かりました。

理想は1~3日間隔で定期的に射精させること。
これにより、新鮮な精子が常に供給されるようになります。

精子の過酷な旅はここからが本番

精子が生まれる目的はただ一つ。
受精をして自分の遺伝情報であるDNAを新たな命に引き継ぐこと、です。

しかし、その道は過酷そのものです。

膣内は雑菌が入り込まないように強い酸性に保たれています。
通常、この難所で精子の99%は死滅すると言われています。

わずかに残った精子が子宮頚管を突破し、子宮に入り込み、卵管を見つけ、最終的に卵子に出会うために、精子達は互いに協力しあう方法で、自分達の遺伝子を卵子に届けるよう働きます。

卵子争奪はチームプレー!3つに分かれる精子たち

英マンチェスター大学のベーカー教授の説に基づくと、精子は働きの違う3種類に分けられると言います。

それが
「ブロッカー精子」
「キラー精子」
「エッグゲッター精子」
です。
精母細胞
古い精子はブロッカー精子とキラー精子になり、エッグゲッター精子が卵子までの道のりをスムーズに進めるよう、サポートに回ります。
ブロッカー精子は身を呈して酸性液や白血球からエッグゲッター精子を守ります。
キラー精子は万が一他人の遺伝子を持つ精子が膣内~子宮内にいた場合に、相手の頭部に腐食性の毒素を注ぎ込んで殺します。

このように、精子の全てが卵子を目指すわけではなく、チームプレーによってより効率的に精子を卵子に届けようと働きかけます。

卵子に到達できる精子は、2億5千分の1の確立。
日本の人口の2倍以上のうちの1人です。

まさにエリート中のエリートだけが卵子と結びつくことができるのです。

こうして誕生したのは私達です。
命を繋ぐ戦争は私達の知らないところでひそやかに行われています。

新しい命も、自分の命もまたこうした結果の上に成り立っているとても尊いもの。

精子の偉大性を実感していただけましたら嬉しいです。

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